日常の健康管理
はじめに
カメの場合、餌と飼っている環境が適切であれば多くの病気・事故を予防できます。特に同じハコガメ、陸生ガメ、水生ガメでも種類によって飼い方が異なることがあるため、自分が飼っているカメが生息する自然環境や飼い方を調べておきましょう。
他の動物と同様に食欲、目、鼻、口、皮膚、甲羅、便、尿(陸生カメ)、など普段と違うことが観察されたら早めに動物病院で診てもらいましょう。
日光浴
カメはビタミンD3の合成のために紫外線が必要です。日光浴の方が人口のライトよりも紫外線としては優れているため、可能なときは実施しましょう。但し、太陽光が水槽のガラスやプラスチック越しではカメに必要な紫外線のほとんどは遮られてしまいます。また、外で日光浴させる場合など、隠れることができる日陰があることを確認しておきましょう。
ケージ内ではフルスペクトルタイプ(波長:290~320nmが理想的)のライトを日中は照射します。また、ケージの中に温度差を設けるため、専用のライトを日中つけておきます。その他専用のヒーターを使用し適切な温度を特に冬や、夜も保てるようにします。
冬眠
種類によって冬眠するものとしないものがあります。一般的に温帯域に生息するものは(即ち冬がある)冬眠し、年中気温が下がらない暑い地域に生息するものは(即ち冬がない地域)冬眠しません。冬眠は繁殖のため、また長生きのためには必要ですが、冬眠は失敗すると死亡することもあるため、熟知していない場合は冬眠させない方が良いのかもしれません。
事故
イヌも飼っている飼い主さんは注意が必要です。イヌがカメを飼っているところにアクセスできると咬傷の事故がおきる可能性があることを常に考えておくべきです。
サルモネラ菌
カメなどの爬虫類はサルモネラ菌を持っていることがあるため、念のためカメを触った後は(特に子供さん)良く手を洗いましょう。
水生カメ
環境
自分が飼うカメの野生での生態を知っておくため、正式名称を飼うときに教えてもらいましょう。(例えば、ミドリガメは緑色のカメの俗称。多くはミシシッピーアカミミガメと思われる)ストレスを与えないため、十分大きい水槽で飼う必要があります。
健康のためには常にきれいな水で生活できることがかなり大切です。従って水槽は第一に掃除がしやすいものが良いのです。餌、糞による水の汚染の程度、季節にもよりますが、定期的に(週に1回以上)水を入れ替え掃除します。カメ用の水をきれいにするフィルター(外部式の容量が大きく性能が良いもの)を付けると掃除の回数を減らすことができます。カメは魚より糞が多く、餌の食べ残しもあって水をよく汚します。水を交換するときは、交換する前の温度と同じくらいの温度にしておくのが理想です。
溺れることを防止するために水の深さはカメがひっくり返ったとき起きるのに十分な深さにしておくことが大切です(甲羅の幅の1.5~2倍程度)。また、特に子ガメの場合水を深すぎないようにし、簡単に陸場に簡単に上がれるか、また水中で何かに挟まって身動きできなくなって溺れる可能性がないか確認します。
特に冬眠させない場合には冬は水の温度が下がらないように注意します(室温に気をつけるか、ヒーターを使う)。一般的に水温及び気温は24~29℃が理想的です(種類によっても異なるため自分の飼っているカメの適温を知っておく)。日光浴ができるように陸場を設けましょう。そこには専用のライトを設置し照射します。水温を管理するため温度計が必要となります。
ミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)の場合成長期のカメでは水温27~29℃、大人のカメは水温24~29℃、 専用のライトで照射した陸場の気温は29~32℃が理想的です。ライトは秋・冬に10~12時間、春・夏では12~14時間照射します。
砂や砂利は口に入る大きさのものは使わないようにします(掃除しにくくまた食べてしまうこともありえるため)。また、水槽の中に入れるものは誤って食べてしまう可能性のあるものは使わないよう注意します。
多頭飼育する場合は喧嘩をすることがあるため注意が必要で、少なくとも同じ種類で同じ大きさのものとすることが必要です。
寿命は15~25年以上といわれています。
餌
ミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)では子ガメは基本的に肉食です。配合飼料(子ガメ用の完全食)を主食とする場合は時折生餌(ペットショップで詳しく教えてもらいましょう)を与え、食べる場合は週に1回程度野菜を与え、オキアミ、牛肉、鶏肉、魚肉などはおやつとして控えめに与えます。大人のカメは雑食です。50%は配合飼料、残りは野菜、果物を与えます。水の汚染を防ぐため食べきれる量を与えることも大切です。成長期のカメは毎日、大人のカメは2.3日に1度与えます。
参考文献
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Klingenberg RJ. “Hibernating Reptiles: Why, When, and How?” Western Veterinary Conference, 2004. Veterinary Information Network. 17 May 2009. <http://www.vin.com/Members/Proceedings/Proceedings.plx?CID=wvc2004&PID=pr05717&O=VIN> (subscription required)
Kramer MH. “Understanding Red-eared Slider Turtle Medicine”. Western Veterinary Conference, 2006. Veterinary Information Network. 13 May 2009. <http://www.vin.com/Members/Proceedings/Proceedings.plx?CID=wvc2006&PID=pr12283&O=VIN> (subscription required)
Rosskopf Walter J Jr, and Shindo Myra K. “Syndromes and Conditions of Commonly Kept Tortoise and Turtle Species”. Atlantic Coast Veterinary Conference, 2003. Veterinary Information Network. 13 May 2009. <http://www.vin.com/Members/Proceedings/Proceedings.plx?CID=acvc2003&PID=pr04997&O=VIN> (subscription required)
小家山 仁、浅野 隆司、浅野 妃美、村杉 栄治 1996. 爬虫類・両生類の診療指針, インターズー,東京
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